体位変換できない患者さんの褥瘡ケア

体位変換できない理由には、主に4つを挙げることができます。

 

(1) 治療上動かすことができないため体位変換できない場合

 

たとえば術後に患部を固定する装具をつけていたり、
止血をするために安静が必要な場合など、
治療上動かすことが出来ない場合、
また、手術中、全身麻酔で長時間体位変換ができず
寝たままの状態であったり、術式によって特別な体位を取らざるを得ない場合など、
褥瘡発生のリスクがとても高くなります。

 

さらに、ICUの重症患者さんで、
循環動態が安定していない場合も、体位変換ができないことがあります。

 

このように、治療上、身体を動かすことが出来なかったり、
循環動態が安定していないため、身体を動かすことができない患者さんに対しては、
除圧をし、ズレと摩擦を防ぐための体位変換を行います。

 

同一体位による高い体圧がコントロールできない場合は、
体圧分散マットレスを使用するのが、最も良い方法です。

 

術後などで、身体を動かすことが出来ない場合は、
ある程度安静時管が予測できます。

 

このような場合は、治療目標を確認した上で、
効果的な体圧分散マットレスを、あらかじめ準備しておくと良いです。

 

(2) ターミナル期でガンの疼痛のため体位変換ができない場合

 

がんの悪液質からくる倦怠感や浮腫などのため、
体圧が上昇します。

 

反面、組織耐久性の低下が起きやすい状態になっています。

 

さらに、低栄養になりやすく、褥瘡の発生リスクはとても高い状態で、
ガンの痛みによって体位変換ができない場合もあります。

 

ターミナル期では、十分な疼痛コントロールを行っても、
体位変換での苦痛が取除けないこともあります。

 

このような時は、患者さんの思いや希望、安楽を最優先にし、
効果的な体位変換が実施できない分、別の方法を講じます。

 

患者さん本人、家族に説明をし、同意を得て、
患者さんの苦痛が少ない体圧分散マットを使用し、
体位変換の間隔の延長、患者さんの体が動かない程度に、
介護者の手でマットを押し上げ、一部分でも局所の除圧を行うなど工夫します。

 

(3) 麻痺や四肢屈曲、拘縮があり体位変換ができない場合

 

脊髄損傷で痙性麻痺の患者さんの場合、
車いすやギャッジアップ(頭側挙上)の姿勢が長時間になることで、
ズレの排除や除圧が難しくなり、坐骨部の褥瘡が発生しやすくなります。

 

四肢に屈曲性の拘縮のある患者さんの場合、
拘縮の影響で骨が突出し、その部位に圧力が集中します。

 

体位変換をしても、屈曲拘縮のために姿勢保持が難しく、
同じ向きになってしまい、褥瘡が皮膚の密着部位に発生しやすくなります。

 

この場合も、体圧分散マットの使用が効果的です。

 

拘縮によって、骨の突出部や関節など、
体圧がかかる部分が決まってくるため、
患者さんの状態に合わせたマットレスの選択、
また、クッションの選択、使用を行います。

 

骨の突出部や屈曲にあわせ、
体とマットレスの隙間をクッションで埋めていくと、
体圧を支える面積を多く取ることができます。

 

(4) 認知症の患者さんで体位変換ができない場合

 

認知症の患者さんで、意識があり、痛みも感じる場合は、
痛みのある部分をかばうため、同じ姿勢にどうしてもなってしまい、
褥瘡が発生しやすくなります。

 

看護師が同じ姿勢を何時間も続けていないかを確認し、
皮膚の状態も頻回に観察するようにします。

 

家族に具体的に観察すべきポイントを伝え、
協力してもらうようにすると、発赤の発見が早くできます。

 

患者さんの体動の癖を見極め、かかとに褥瘡ができやすいと判断した場合、
あらかじめかかとに滑りやすいフィルムを貼って、
摩擦やズレを回避するための予防策とすることもできます。

 

しかし、色々な手を尽くしても、褥瘡を予防しきれない難しさもあります。

 

家族には、対策を講じても、褥瘡が発生してしまう可能性があることを
伝えておくようにしましょう。