口が開かない患者さんへの対応

(1) 口周囲の筋が硬直している場合

 

神経障害の後遺症や、認知症、脳梗塞による
口腔周囲筋の機能低下や廃用などによって、
口周囲の筋が硬直している患者さんなどです。

 

このような原因があり、口周囲の筋が硬直している患者さんに対しては、
まず、唾液腺マッサージを行い、筋をほぐします。

 

すると、リラクゼーション効果で、口が開きやすくなります。

 

また、歯列弓の最も奥の部分、臼後三角部の内側を押すと、
開口反射で口が開く事があります(K-point刺激)。

 

口の中に指を入れると、患者さんが反射で噛んでしまうことがあるので
注意をします。

 

マッサージやK-point刺激は、慣れるまで練習をしましょう。

 

(2) 粘膜がくっついている場合

 

口腔内が乾燥していると、粘膜がくっついて、
口を開くことができません。

 

このような場合は、無理に粘膜をはがしたり、
こじ開けたりするような事は決してしてはいけません。

 

保湿剤でこまめに口唇から口腔内を湿潤させます。

 

 

2. 口腔ケアが難しい患者さんへの対応 その2

口を開けたくない患者さんへの対応

(1) 口の中や口の周りがいたい場合

 

口唇ヘルペス、口腔内のカンジダ、MRSA感染症やガン化学療法による口内炎がある、
挿管によるびらんや潰瘍などで強い痛みがある患者さんは、
口を開けたくない状況です。

 

このような時は、口角にワセリンなどを塗って、
口腔内を水や保湿剤で湿らせた後、
毛の柔らかい小さなブラシで軽く磨くようにします。

 

難しいときは、指で粘膜の汚れを取るだけ、
もしくは含嗽だけ行い、清拭後に軟膏を塗ります。

 

歯磨き剤や、刺激が強いので使用を避けましょう。

 

(2) 歯をかみ締めてしまう場合

 

歯をかみ締めるのは、身体的・精神的なストレスによって
筋が緊張しているからです。

 

脳外科の術後一週間は、力が入りやすく、口が開かないことが多いです。

 

しかし、この状態は時間が経てば解消され、開く様になります。

 

マッサージをして筋をほぐすのが効果的で、
指で耳下腺部をゆっくり刺激すると、
唾液で口腔内が潤い、筋の緊張もほぐれます。

 

(3) ケアを拒否している場合

 

過去に痛い経験をした患者さんや、認知症の患者さんなどで、
ケアを拒否する表れとして口を開かないことがあります。

 

この場合は、マッサージを行ったル、アングルワイダーという医療器材を使用します。

出血傾向の患者さんへの対応

出血傾向がある患者さんをケアするときは、
まず、全身的な出血なのか、局所的な出血なのかを
鑑別することが必要です。

 

また、出血がある場合、患者さんが歯磨きを怖がることもあります。

 

歯磨きの必要性や、行い方を随時声かけしながら、
安心して口腔ケアを行えるように工夫しましょう。

 

原因が全身的なものの場合

 

全身的な出血傾向となる疾患は、血管異常、血小板異常、凝固因子の異常などがあります。

 

カルテで疾患と処方薬、白血球数と血小板数の血液データを確認し、判断します。

 

出血している場合は、どこから出血しているのかを確認し、
出血している箇所を避けて、柔らかいブラシや小さな歯ブラシ(ワンタフトブラシ)で、
粘膜を刺激しないように細かく磨きます。

 

出血していたり、歯肉が腫脹し、出血の可能性が高い場合は、
タフトブラシで注意深く、
なるべく歯肉を刺激しないように清掃します。

 

出血が続いている場合は、ガーゼで圧迫し、止血しましょう。

 

口唇や口腔内が乾燥した状態だと、
粘膜が切れて再び出血してしまいます。

 

アズノール軟膏やワセリンで、保湿を十分にしましょう。

 

原因が局所的なものの場合

 

局所的に出血する主な疾患は、歯周病です。

 

また、進行したう歯(虫歯)や、事故などによる外傷、
舌ガンなどの場合もあります。

 

歯周病が原因で出血している場合は、
ケアの際に出血しても怖がらず、プラーク(歯垢)を除去するために、
歯と歯茎の間や、歯と歯との間にたまった汚れを完全に取除くように磨き続けます。

 

出血が止まらないと困るから・・・という理由で、
綿棒やスポンジブラシで清掃していたのでは、
歯面に付着した歯垢を完全に除去することが不可能です。

 

歯垢がついたままでは、歯垢の中の細菌によって、
歯肉が炎症を起こし、さらに出血しやすくなってしまいますから、
キレイに磨きましょう。

 

柔らかい毛の歯ブラシや、ワンタフトブラシなどで、
こまめに歯垢を除去し、出血の原因となっている炎症症状を
改善させていきましょう。

 

出血の多くは、歯垢や歯石がついている部分、
食べ物のカスがたまっている部分に見られます。

 

ヘッドが小さく、毛が柔らかい歯ブラシを使用して、
歯と歯茎の境目を細かく小刻みに動かし、きれいに磨いてください。